9月ロイター企業調査によると、今後の米国経済について

9月ロイター企業調査によると、今後の米国経済について、8割超が「横ばい」ないし「拡大方向」とみていることがわかった。米政権の混乱が経済に悪影響をもたらすと懸念しながらも、実需の堅調さを感じている。中国経済の今後は「横ばい」ないし「拡大方向」との回答が65%を占めた。日本国内は経済の不安は少ないが、政治が不安定化するとの見通しが6割となっている。

この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に8月30日─9月12日に実施。回答社数は260社程度。

足元と先行きの米国経済について聞いたところ、「拡大方向」との見通しが19%、「横ばい」が64%だった。回答企業からは「政治要因はあるものの、実需はしっかりしている」(その他製造)と米国経済の先行きに楽観的な声が多い。減速懸念は相対的に少なく、「ピークアウト」や「減速方向」との回答は、合わせて17%にとどまった。

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受注動向も今のところ75%の企業で「横ばい」、「増加傾向」も18%を占めている。

もっとも、企業からのコメントは「米政権の不安定さが経済に影を落としている」(ゴム)、「自動車販売はピークアウト」(輸送用機器)などと懸念する声も含まれている。半年前よりも米国経済への見方が弱気化したとの回答は20%だった。

また、事業展開に「停滞や遅れ」が生じたり、「見直し検討」の必要があるとの回答は41%を占めた。

中国経済の見通しは、相対的に米国よりも厳しい。「拡大方向」は14%、「横ばい」で推移するとの回答は51%、「ピークアウト」ないし「減速方向」との見通しは35%を占めた。

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「10月の党大会までは表向き拡大基調は継続すると思われるが、それ以降は不透明」(建設)との予想が多く、「10月以降は状況が一変することも予想され、経済が減速することは十分考えられる」(電機)との声もあった。

一方、日本国内の今後については「現状維持」で推移するが73%だった。「オリンピックまでは、環境悪化はないのではないか」(機械)、「消費増税までは景気拡大」(小売)といった見方が目立つ。「拡大方向」も21%を占めた。

他方で「北朝鮮のミサイル問題が様々な面で影響を及ぼすことを懸念する」(運輸)との声や、「海外要因で失速する懸念もある」(輸送用機器)などと、内需堅調を打ち消す外部要因のリスクを警戒する見方も目立つ。

国内要因では、政治環境の不安定化を意識する回答が64%にのぼった。「現政権のぜい弱性が露呈しているが、対抗勢力に力がなさ過ぎる」(卸売)との声が典型的で、「安倍一強」時代のような厚い「政治的資本」が削り取られていることへの懸念が広がっている。

北朝鮮のリスクが高まっており、政権の安定が重要」(機械)というコメントが数多く寄せられ、「安易な解散・総選挙で政治の空白期間を招来するような余裕はないはず」(建設)といった声もあった。